2026.02.12
2/12新著発売のお知らせ『100万回生きたねこ』のナゾを解くーとらねこはなぜ100万回と1回目で死んだのか?(筑摩書房)宮崎哲弥
【2月12日刊行『100万回生きたねこ』のナゾを解くーとらねこはなぜ100万回と1回目で死んだのか?(筑摩書房)宮崎哲弥】本書「はじめに」より (この本が上梓された1970年代の終わりごろから)キズナやシガラミにとらわれることなく、自由に自律的に生きられるようになった。人々は「個」として振る舞い、「この私」の思うさまに生きることを覚えたのです。 これは社会の成熟の結果であり、自然のなりゆきです。 けれど反面、共同性や関係性から切り離された「個」の生は、寄る辺ないものでした。もはやクニも、家族も、仕事も、生の根拠とはなりません。愛や遊び(趣味、スポーツなど)は一時的な根拠にはなり得ますが、長続きするものではありません。生きる根拠を求めてひとり世界をさまよう旅。漂泊(=さすらうこと)が人生のメタファーとなりました。 この絵本には、際限もない輪廻など、かなり不思議な状況設定がみられます。その特異な世界に「ナゾ」が埋め込まれ、ストーリーは幾度か反転し、あるいは親密さが嫌悪を催させたり、よそよそしさが愛を呼び起こしたりします。 そして、最後にそっと「この私」からの「わたし」の解放を告げるのです。そのすがすがしさこそ救いの証…… こうして『ねこ』は、類いまれな、しかし普遍的な意味を持つ希望の寓話として世界中で読まれつつあります。